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数字を知ったら妊娠がみえてきた!からだのこと、こころのこと、夫婦のこと~データでみる妊娠~

あんな
妊娠中に感じる悩みや心配ごと、そして体の不調って、人それぞれ。「私、こういうことでつらいんだけど、そう思うのはワガママかな……」など、ひとりでもんもんとすることってあるわよね。そこで、今回は、プレママさんたちが抱きがちな不安を、調査・研究から出た “数字”で深掘り! 助産師の清水茜先生にもお話を聞いてみたわよ!
円グラフ

その1.妊娠中期以降、妊婦のストレスの1番の要因は「体重増加」!?

体重計に乗る姿
あんな
あんな「妊娠中、妊婦さんは“自分自身のこと”でどういうストレスを感じるのか?」について573人の妊婦さんに調査したデータがあるの。そこで、妊娠中期以降の妊婦さんが最も多く寄せた回答は「自身の体重増加」!妊娠すると、赤ちゃんが体の中で育つわけだから体重はもちろん増えるけど、それがストレスになるのってつらいわね。
【出典】
添田梨香ほか「妊娠中のストレスとストレス対処に関する研究」J Jp Soc Psychosom Obstet Gynecol Vol. 21, No. 3, pp. 306-313,2017
清水先生
清水先生体重が増えて体のラインが変わり始めると、そのことでストレスを感じる妊婦さんは少なくありません。特に、今まで細い体をキープしていた人はそういう気持ちを抱きやすいでしょうね。でも、体重増加や体型変化は、おなかで赤ちゃんが育ち、元気に生まれてくるために起こることだと思って前向きに受けとめてほしいです。
とはいえ、体重の増えすぎはよくありません。妊婦健診では、妊娠していないときのBMIなどを参照して体重管理の指導をしています。肥満の人については、それに適した管理の仕方をお伝えしています。
※BMI:肥満ややせの判定に用いられる値。体重と身長から算出する。

妊婦の体重増加は赤ちゃんの体重分だけじゃない!

妊娠により増加する体重の内訳
あんな
あんな「個人差は大きいものだけど、出産までに体重はだいたい7〜12kg増えるらしいわよ。増加分の内訳は、赤ちゃんの重さが25〜30%ほど。もちろん胎盤や羊水なども増えて、ほかには妊婦さんの血液量や水分量、そして体脂肪。……つまり、みんなが気にするのは、この体脂肪ってことなのよね。
【出典】
『講義録 産婦人科学』p308-309(メジカルビュー社刊)
清水先生
清水先生妊娠中は脂肪が蓄えられやすくなっています。体重を増やしたくない、余分な脂肪はつけたくないと思っても、つわりがあるときは体調が不安定なので、その時期は体重管理を気にせずに過ごしましょう。つわりが落ち着く妊娠16週以降頃から1カ月1kgペースで増やすことを心がけるといいと思います。産婦人科で個別に指示がある場合はそれに従ってくださいね。
お通じがないと体重が増えやすいので、水分をしっかりとり、根菜などの食物繊維、ヨーグルトや味噌などの発酵食品などを取り入れた食事を積極的に摂って、できれば自然な排便リズムがついてくるといいですね。それでも解決しない人は、かかりつけの産婦人科で相談し、お薬を出してもらいましょう。また、妊娠中はむくみに悩まされることが多いですが、マタニティエクササイズやヨガなどもおすすめです。
産後は、工夫次第で体重と体型の悩みを解消できます。たまのご褒美に甘いものを食べるなど、無理しすぎずメリハリをつけ、気を楽にしましょうね。

その2.妊婦の9割が「疲れやすい」「トイレが近い」「だるい」に悩まされる!?

お腹を抱えながら横になっているママの姿
あんな
あんな妊娠すると、全期間を通じて「何だか疲れやすい」「トイレにしょっちゅう行きたくなる」などのお悩みを抱えるみたい。妊婦さんの9割がそう感じているんですって! なぜなのかしら?
【出典】
新川治子ほか「現代の妊婦のマイナートラブルの種類,発症率及び発症頻度に関する実態調査」J. Jpn. Acad. Midwif., Vol. 23, No. 1, 48-58, 2009
清水先生
清水先生妊娠すると、血液の量が増加するものの赤血球は増えないので「血が薄い」状態、つまり貧血になりやすくなります。貧血だと、酸素が十分に行きわたらなくなり、疲れを感じやすくなります。妊娠中は普段よりも多くの鉄分が必要なので、食事から積極的に鉄分を摂取することを心がけましょう。また、治療が必要な場合もあるので、かかりつけの産婦人科で相談してみるといいでしょう。
また、トイレが近いのも、妊婦さんによくあることです。妊娠中に頻尿になる理由は、大きくなった子宮が膀胱を圧迫するため。また、血液量の増加にともない尿の量も多くなります。尿漏れが心配な場合は、専用のパッドを使用するといいでしょう。こまめに替え、清潔な状態を保ってくださいね。
なお、尿漏れで注意してほしいのは、尿と破水を間違えやすいということ。笑ったり、くしゃみが出たとき、腹圧がかかって少し尿が漏れるぐらいであれば問題ありませんが、時期によっては尿ではなく破水の可能性もあるので、どちらか迷うような場合はかかりつけの産婦人科に連絡しましょう。
妊娠中は、体のだるさや頻尿など、自分にしかわからない症状があります。どうしてもつらい場合は、自分から発信してサポートしてもらいましょう。例えば職場では、「〜な体調なので、ラッシュ時を避けて通勤したい」などと自分の状況と、希望することを伝えられると、会社側としても対策が立てやすいです。
また、主治医が必要と判断すれば、母性健康管理指導事項連絡カードという用紙に、通勤緩和や休憩時間延長などの措置を記入してもらえるので、その用紙を職場に提出する方法もあります。

その3.妊婦は交通事故リスクが高い!?

交通事故イメージ画像
あんな
あんな妊娠すると、体だけじゃなくて心の変化も。どうやら注意力が散漫になるんですって。カナダで50万人超を対象に行った調査では、妊娠前の3年間と妊娠中期を比べると、交通事故のリスクが42%上昇していたというデータがあるのよ。ちょっと心配になっちゃうわね。
【出典】
一杉正仁「妊婦の安全に向けて-メンタルヘルスと injury prevention」J Jp Soc Psychosom Obstet Gynecol Vol. 21, No. 3, pp. 259-263,2017
産婦人科診療ガイドライン 産科編2020「CQ901 妊娠中のシートベルト着用、および新生児のチャイルドシート着用について尋ねられたら?」
清水先生
清水先生妊娠中は、女性ホルモンの変動によって「眠くなる」「ぼーっとする」「集中力や記憶力が低下する」という症状が出やすくなります。ですので、できれば自動車や自転車の運転には十分に注意して、ちょっとでも不安があるときは避けてほしいです。
とはいえ、通勤に必要だったり、上のお子さんの送り迎えなどでないと困る場合もあるでしょう。そのときは、交通量の少ない道を選んで、焦らずに余裕をもって運転してください。また、運転時に限らないことですが、出掛ける際は母子手帳と病院の診察券、保険証、それから生理用のナプキンを携帯しましょう。ナプキンは、万が一破水した際に対応するためです。代わりにタオルを用意しておいてもいいと思います。
ただし、「おなかが大きくなって動きづらい」「車のハンドルがおなかに当たる」などの状態になったら、運転はやめるように。さらに、「寝不足」「おなかが張っている」「切迫症状がある」という場合ももちろんNGです。もちろん、出産の兆候があるから自分の運転で産院へ……なんてことは絶対に避けてくださいね。

その4.妊婦の10人に1人はうつ病に!?

悩んでいるママの姿
あんな
あんな「妊娠中のうつ病は約10%にみられる」というデータがあるわ。妊娠中のうつ病を引き起こすリスクとなるものにはさまざまあるようだけど、うつ病とまではいかなくても、妊婦さんは精神的に不安定になりがちよね。妊娠中の心の不調はどうしたらいいのかしら。
【出典】
日本産婦人科医会「妊産婦メンタルヘルスケアマニュアル」

清水先生
清水先生産前・産後は精神的な不調が起こりやすい時期です。妊娠したことに戸惑っている人、悩みを打ち明ける相手がいない人、過去にもメンタル不調があった人などは、特に注意が必要です。
「眠れない」「ひどく落ち込む時がある」「食欲不振」などがあったら、病院に相談していいと思います。ただし、これらのことは自分では気づきにくいので、旦那さんや周りの家族に「妊婦ってうつ病になるリスクが高いんだって」と話しておくといいでしょう。そして、家族が気づいたときに「なんだかいつもと様子が違うよ」「最近ごはん全然食べられていないんじゃない?」「ちょっとつらそうに見えるよ」と声をかけてもらうようにしておけば、そのことを医療機関にも相談しやすいと思います。
子育てをうまくやっていけるだろうかと産後を心配したり、多すぎる情報を消化しきれず漠然とした不安が募ったりして、心が疲れてしまう人は少なくありません。うつ病になる前に、誰かに話ができるといいですね。地域の保健センターを訪ねて、妊娠や出産に対する不安を聞いてもらうのもひとつの方法です。自分の胸のうちを第三者に伝えて、心の整理をしたりアドバイスをもらうことは、妊婦さんのメンタル面においてとても重要です。

その5.ママ・プレママの心配ごとや悩みの相談相手、約9割が夫・パートナー!?

夫婦、パートナーで話している姿
あんな
あんなそんな過酷な状況に置かれている妊婦さんが頼りにしているのは誰なのかしら?「妊娠、出産、産後期間の不安感」についてのアンケート調査によると、家事や育児、そのほか心配ごとや悩みを相談できる相手は、「夫・パートナー」が88.6%でダントツの1位! 続いては、「実母」(82.0%)「友人」(67.1%)という結果みたい。みんな、なんだかんだでパートナーを頼っているのねえ♡
【出典】
三菱東京UFJリサーチ&コンサルティング 厚生労働省 平成29年度 子ども・子育て支援推進調査研究事業 「妊産婦に対するメンタルヘルスケアのための保健・医療の連携体制に関する調査研究」
清水先生
清水先生数年前と比べると、妊婦健診や両親学級に意欲的にいらっしゃる男性は多くなりました。また、パパが家にいる時間が長くなったという家庭が増え、その分育児に関わるようになった、というパパも増えています。妊婦さんやママにとって、一番近くにいて長い時間を過ごしているのはパートナー。そうなると、パートナーが妊婦さんにどう接するかによって、妊娠ライフの充実度はだいぶ変わってきます。

その6.パパと関係性がいいと、妊娠中のストレスも減る!?

夫婦、パートナーで笑い合っている姿
あんな
あんな573 名の妊婦さんを対象に行った調査によると、妊娠全期間を通して、ストレスの要因を「夫」と答えた人は全体の 23.6%! 「妊娠に対して夫の理解や協力がない」「夫が胎児への興味がない」などの理由があるみたいよ。
そして一方で、ストレスのサポート役としても、全体の 33% の人が「夫」と答えているみたい。例えば、「(ストレスを感じたら)夫と会話し気持ちを伝える」「夫から妊娠への気遣いがある」「家事・育児に夫の手伝いがある」など。ということは、パートナーとの関係性がよいと、ストレスはだいぶ緩和されるってわけね。パパの存在って大事ね♡
【出典】
添田梨香ほか「妊娠中のストレスとストレス対処に関する研究」J Jp Soc Psychosom Obstet Gynecol Vol. 21, No. 3, pp. 306-313,2017
清水先生
清水先生妊婦さんと生活するなかで、旦那さんに心がけていただきたいのは、ネガティブな声かけをしないこと。妊婦さんの心は不安定なので、間違っても「太ったね」なんて言わないように!(笑)
それから、相談を受けたときは、まずは妊婦さんの話をひたすら聴く「傾聴の姿勢」が大事です。まっこうから、「自分はこう思う」「こういうことでしょ」と自分の考えを押しつけることはせずに、「〇〇だからつらかったんだね」「こういうときにこう思ったのかな?」と共感してあげてください。そうすれば、妊婦さんは、自分が置かれている状況を整理しやすくなって、今後どうすればいいかについて落ち着いて言葉で表せるようになります。

妊婦さんを取り巻く環境は大変。でも、パパがサポートできることはたくさんあります!

清水先生
清水先生妊婦さんの心身の安定のために、旦那さんにはぜひ意識的にやっていただきたいことがあります。それは「調べる」「実行する」「結果を評価する」。妻が妊娠について不安を抱いているようであれば、夫はそのことを自分でネットや本で調べる。そして、「こういうことみたいだよ。実際にやってみよう」と提案して実行する。そのうえで、やってみた結果についてふたりで話し合う。この3点を実施できれば素晴らしいです。今は、産婦人科や自治体などに行くと、パパ向けのアドバイスが書かれた、妊娠生活用のリーフレットも置いてあります。それらに目を通すだけでも意識は高まるはずです。
でも、初めから無理は禁物。いろいろ工夫ができなくても、妊婦さんの隣にいるときは、とにかく笑顔でいてほしい。妊娠中は大変なこともありますが、そのときパートナーが笑顔だったら、妊婦さんは「何とかなるさ」と思えるはずです。いつも笑っているパパでいてほしいですね。
あんな
あんな妊娠すると、まずは体が変わって、それとともに心も不安定になることがよ~くわかったわ。でも、そこでひとりで不安を抱えちゃダメ。家族やお友達、そして何よりパートナーに話を聞いてもらって、自分の気持ちを整理することが大事なのね♡

まとめ

  • ・体重と体型が変わることは、赤ちゃんが元気に育っている証拠。自然なことだと前向きに受けとめて
  • ・「体重が増えちゃダメ」と思うのではなく、1カ月に1kgは増えてオッケーというスタンスで
  • ・どうしてもつらいときは、臆さず自分から発信し、周囲の人にサポートしてもらいましょう
  • ・自動車の運転は、焦らずに余裕をもって。少しでも不安があれば別の移動手段を考えて
  • ・妊婦さんから相談を受けたときは、パートナーは“傾聴”の姿勢を大切に
  • ・パートナーは「調べる」「実行する」「結果を評価する」を意識的に実践しましょう

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監修者プロフィール

清水茜先生
清水茜先生助産師。以前は、東京慈恵会医科大学付属病院の産科とNICUに勤務。また、地域の産婦人科病院にて、妊娠、出産、母乳育児相談、NICUにおける母乳育児指導などに携わった経験をもつ。現在は保健センターで妊婦向けの保健指導を担当。ふたりの男児のママ。

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